space

どうせやるなら変わったことを!
難解な図面ほど燃えるリーダーと
制作・施工のプロ集団。

現場で工事を行うことを「施工(せこう)」という。
当たり前だが、施工なくして空間はでき上がらないし、施工次第で空間の仕上がりは決まる。そんな施工を専門的に行うプロ集団がいる。徳武輝彦が率いる、東京第1事業部施工技術部3課。スペース社内で一目置かれる存在だ。

「うちはいわば個人商店の集まり。一人ひとりがプロフェッショナルで特性を持っている。個性派ぞろいです」

船岡敦司は自他ともに認める設備マニア。決して陽の当たらない壁の裏、天井裏へと想いを馳せる。
「完成時には表に現れない電気系などの設備が、実は、明るい、暗い、暑い、寒いなど、その空間の快適さを支えています。隠れている部分だからこそ後から手直しもきかない。事前の準備が10割と言っても過言ではない仕事です。限られた空間、限られた工期の中でいかに納めるかが腕の見せ所」とニヤリ。

猪口信幸は入社29年目の大ベテラン。超現場主義の職人肌でとにかく口数が少ない。
「現場は毎日状況が変わる。それを納めていく」。以上。現場では時折みんなに飴玉を振る舞うらしい。

徳武はというと、図面にもえる。「なんだこれ、どうやってつくるんだ?!という設計図面がくるほど燃えるし、一目見ただけでこれは面白くなる!とピンとくるスケッチに出会うとスイッチが入る。図面には個性が出るし、図面を通して気合も伝わってきます」

空間ができ上がるまでには「設計図面」と「施工図面」という2つの図面が存在する。デザイン・設計担当者が描くのが、完成イメージや世界観を共有するための設計図面。スケッチのような絵も同時に描かれる。
それらをもとに制作・施工担当者が描き込むのが施工図面で、どこにどんな材料を使い、どう固定するか、水道や電気をどのように配していくかなど、細部まで具体的に記していく。

ちなみに、実施図面は「ベクターワークス」というアプリケーションを使って描くという。「この業界に入ってから勉強して使えるようになりました。正直あまり得意ではないです」。

徳武にとってスペースは5社目。35歳で入社した。
九州の大学で建築を学び、神戸のゼネコンで働いた後、地元・香川に戻り、店舗の内装を手がける会社で施工のキャリアを重ねてきた。
転職した一番の理由は「東京で働きたかったから」で、スペースのウェブサイトを見てエントリーしたそうだ。

入社して5年ほどして、徳武は国家資格「1級建築施工管理技士」を取得する。するとたちまち扱うプロジェクトの規模が変わった。それはこの資格によって「公共性のある7,000万円以上の建築一式工事」が可能になるためだ。一級建築士同様、工事規模の上限はない。

「国の重要文化財に指定されている建築物で店舗を作ったり、アーティストの作品とコラボレーションした内装を手がけたり、スケールも難易度もこれまでとは格段に違うものばかりになりました。特殊なものほど燃えるので、ますますこの仕事が面白くなりました。スペースという会社もこの5〜6年ですごく面白くなってきています」

どうせやるなら、変わったことをやりたい。
つくったことのないようなものを、つくりたい。

そう語る徳武が次に狙っているのは、アミューズメントパークというから夢は広がる。

○情報は2019年9月の取材時のものです

profile

徳武輝彦

Teruhiko Tokutake

ゼネコンや内装会社などを経て、2009年、35歳で東京本部入社。アパレルを中心に施工を担当。5年目、1級建築施工管理技士を取得。ウルフギャングをはじめ外資系大型飲食店などを手がける。香川県さぬき市出身。

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