トップ企業のブランディングに
空間で答えを出す。
源流に立つ
クリエイティブディレクター。

鹿島 大雅
TAIGA KAJIMA 2004年入社

ビジネスの世界ではしばしば
「上流」や「川上」などの表現が使われる。
それは、多くの決定権を持つ中心的存在を意味する。
空間づくりでは、上流にいるのが
発注主(クライアント)であり、
そこから営業、企画、デザイン、設計、
制作、施工……と
バトンが渡されていくイメージだ。
最も上流に位置するクライアントが抱える課題を
解決へと導き、
秘めているブランドの価値を見出す。
空間でそれを具現化していく。
そんな仕事をしているのがこの人、鹿島大雅。

鹿島が近年手がけたプロジェクトのひとつが、
チョコレートブランド GODIVA/ゴディバの
世界初となる体験型店舗だ。
「それまでスペースでは、ゴディバの店舗の設計や
制作、施工を請け負っていました。
いわゆるハードづくりです。
ハードの実績を積みながら、
常に『ソフトをやりたい』と言い続けていた
僕らにやって来たチャンスが
『ATELIER de GODIVA』のコンペでした」
鹿島は社外ブレーンを巻き込んだ
プロジェクトチームをつくった。
その詳細はこちらに譲るが、
ゴディバの創業物語から紐解き、
店舗を通してブランドの
どんなストーリーを伝えるのかを
練り上げていった。
エンドユーザーに愛されることはもちろん、
働くスタッフのモチベーションにも
繋がるアイデアはないか。
チームで議論を重ねていった。
想いをぶつけたプレゼンは成功した。
そして、完成した店舗はゴディバにとっても
これまでにない新たな価値を創造する存在となった。
「このプロジェクト以降、僕らはこれから
こういうことをやっていくんだと感じました」
と話すのはチームメンバーの髙木洋平。
ゴディバプロジェクトの一翼を担った五十嵐雪乃は
「外部ブレーンとの協業、
店舗だけでなくパッケージなど
プロダクトデザインまで考えるトータルプロデュース、
プレゼンのためのムービー制作など、
とにかくこのプロジェクトには
成長させてもらいました」と
振り返る。
そして2人はこう口を揃える。
「鹿島さんは本当にストイックです」

「バー空間をつくりたい」とスペースに入社した鹿島。
はじめの数年は
ファミリーレストランやファストフード、
フードコート店舗などで経験を積んできた。
「最初の頃は辞めたいと思うほど
辛いこともありました。
それでも図面を抱えて西へ東へと飛び回っているうちに
5〜6年が過ぎて。
気がつけば、どんな業態の飲食店でも対応できると
思えるようになっていました」
メジャーコーヒーチェーンのカフェなど
デザイン性が重視されるプロジェクトも
任されるようになり、
「飲食やカフェといえば鹿島さん」と
言われるようになっていた10年目。
鹿島は会社の勧めで
「アートディレクター養成講座」という
社外プログラムに参加する。
これが思いがけない大変革をもたらした。
「そこにはいろんな業界の人が集まっていて、
広告畑の人やインハウス・デザイナー
(社内デザイナー)などが
アートディレクションによる
課題解決を考えていました。
すごく面白くて刺激的でした。
あんなに熱心に講座内容をノートにとったのは
学生時代にもなかったかもしれません。
メガネ屋の店舗をつくる時に
メガネのことだけ勉強していてはいけない。
ハードだけやっていてはダメ。
ソフトを描いていく知識、提案力、
本当にいいものが何かを考え抜く
デザインシンキングを学びました。
そして、自分の強みは『空間』であり、
設計や施工ができることは
大きなアドバンテージであることを再認識したのです」

鹿島は講座で得た知識をさっそく現場に持ち込んだ。
それまでは感覚的でしかなかった「やってみたい」は、
想いの乗ったコンセプトとロジカルな提案となり、
次々と「やれる」に変わっていった。
「学んだことをすぐに実践できる
現場があったことが良かった。
いろいろ挑戦させてくれた
クライアントにも感謝です」。
「スペースでのステップアップは、
まるでロールプレイングゲームのようです。
設計ができるようになり、
コスト管理ができるようになり、
制作・施工ができるようになる。
空調がわかり、水回りがわかり、
火を扱う店舗もつくれるようになっていく。
ひとつずつ武器を増やし、
総合力を高めながら
自分のキャラクターを築いていくイメージです。
僕は今のところ
〈総合的な力+食+ソフト提案〉といったところ。
それぞれが自分なりのスタイルを見つけて
キャラクターを発揮すればいいんです」
かつて、同じディスプレイ業界にいながら
「一流店を生み出しているのはどういう人なんだろう」
と思っていたという。
数々の武器を手に入れ、
ハードとソフトの掛け合わせによって
価値を提供できるようになった今、
鹿島はまさに一流店を生み出す人となっている。

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PRIVATE

幼少期から好きだったレゴ。
シンプルな色とパーツで構成された昔のレゴは魅力です。
今はキャラものをつい大人買い……。
アートディレクター養成講座の後、
実験的な挑戦をたくさんさせてもらった
インド料理店「ムンバイ」。感謝しています。
3歳くらいからヤマハ教室に通って習っていたピアノ。
今は休日にお酒を片手にリラックスして
JAZZを気ままに弾きます。
海外のリゾートホテルが好きで、
ジェフリー・バワに憧れます。
ビーチを見下ろす部屋で泡のお酒と遅めの朝食。最高です。

鹿島 大雅/ TAIGA KAJIMA

2004年、東京本部入社。
ナショナルチェーンのファミレスや
ファストフードなどに携わり、
8年目よりカフェやベーカリー、
インド料理店を担当。10年目の
「アートディレクター養成講座」が転機に。
12年目よりGODIVAを担当。東京都葛飾区出身。
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